ごあいさつ
海や地球が喜ぶ海洋(再)エネルギーをめざして
漁業や地域と共存共栄する海洋(再)エネルギー
“海の環境・生物生態系・そして漁業と共存共栄する海洋(再)エネルギーをデザインして(創って)みたい”
“その思いを形にするにはどうしたらよいのだろうか”
いざ実行するとなると、何をどうやったらよいのか、何から手をつけたらよいのか、ハードルばかりが高く見えてしまう。
どうせ海の中のことだし、だれもわかりやしない、もっともらしい事を言っているとなんとかなる…。
しかし、口先だけで自分を安全地帯に身を置いて意見を言うことは誰でもできる。
そこからは革新的なものは生まれてこない。
“どうしたらよいのか”そのような攻防の中から見えた小さな光は、長年水中工事をやってきて、海の中を見てきた自分のポジションだった。「海の中を見ることができる自分のポジションから、何か出来るはずだ」という思いが湧いてきた。
さらに、もうひとつの光もあった。それは、「海で自分は生かされてきた」という感謝の思いだ。海というフィールドがあったおかげで潜水をして、稼ぐことができ、家族を養い生活することができた、この厳然たる事実をハッキリ感じた時、内におこる海への感謝の思いを止める事はできなかった。
海の破壊者から救済者への道へ
若かりし頃、海洋開発というロマンある言葉にあこがれて、水中工事の世界に入った。
腕の良い潜水士になろうとガムシャラに働いた。
港を造るのに磯をダイナマイトで吹き飛ばし、ある時は渚や干潟にコンクリート構造物の基礎を作っていく。そこには水中の生物や環境のことなど考える余裕はなかった。
潜水士になって15年余りたった頃、世界が変わりはじめた。
熱帯雨林の環境問題、海の汚染、温暖化、干潟・湿地は生き物たちの宝庫だという。
環境というワードで自分の仕事を振り返ったら、私は海の破壊者だった。衝撃だった。憧れてなった潜水士を辞めたいとさえ思ったことも…。
しかし、海にとどまった。「この道しか私を生かす道はない」との思いが支えだった。そして今になる。
培ってきた水中技術を生かして、海や人々のために自分ができる事からやっていこうと思い、30年余り前から生物生態系のことを意識しながら海へ潜るようになった。海は漁業者の方々のフィールドであることにも気がつき、以後、漁業資源のことを意識しながら海へ潜るようにもなった。そして、漁業を営んでいる方々と一緒に活動をするという流れが自然に出来上がってきたのです。
その経験が、漁業と協調・地域と共生する海洋(再)エネルギーづくりにつながっています。
海を破壊してきた技術を、今度は海へお返しをする技術へ昇華させたい、そういう思いで今日も海の中へ潜っています。
理事 渋谷 正信
Director/Masanobu Shibuya